[与党大勝] 民意に耳を傾ける謙虚な政権運営を
( 10/23 付 )

 第48回衆院選はきのう投開票され、自民党が単独で安定多数を獲得し、公明党との連立政権の継続が決まった。

 解散直後は「政権選択選挙」の機運が高まったものの、選挙構図は3極の争いに移り、野党は攻めきれなかった。

 小池百合子東京都知事が結成した希望の党への民進党の合流・分裂劇に注目が集まり、安倍晋三首相の政治姿勢への是非が、かすんでしまったといえよう。

 希望は伸び悩む一方、民進の分裂で希望の理念や政策に賛同しない勢力が結成した立憲民主党は大躍進した。

 選挙で一にも二にも問われたのは、過去5年近くにわたる「安倍政治」の是非そのものだった。

 有権者は、「政治の安定」を前面に掲げた与党に引き続き日本のかじ取りを託したといえる。

 ただ、野党の離合集散による候補者乱立で政権批判票が分散したことが有利に働いたことは否めない。「白紙委任」でないことを与党は肝に銘じるべきだ。

 日本社会は少子高齢化が進み、生産年齢人口は大きく減少する。政治にまず求められるのは、制度疲労を起こしているさまざまな仕組みを見直し、新たな手だてを講じることだ。

 それは持続可能な社会に向けた次世代への責務でもある。与党は民意に耳を傾け、謙虚な政権運営に徹すべきだ。

■改憲論議はどう進む

 選挙後、最大の焦点は憲法改正の行方だ。希望の党や日本維新の会を加えると、改憲に前向きな勢力は3分の2を超え、選挙後に改憲論議が加速しそうだ。

 9条改正を本命視する首相は国会での改憲論議進展にアクセルを踏む可能性が高い。

 2020年の新憲法施行を目標とする当初スケジュールをにらみ、今年中に自民の独自改憲案をまとめ、来年の通常国会での発議を目指すことが考えられる。

 その際、どの政党と連携するのか目が離せない。

 日本維新の会は9条改正に前向きだ。希望は9条を含む論議には賛同するが、首相が強調する自衛隊明記案には「疑義がある」と批判する。公明党は国民の理解が進んでいないとして慎重だ。

 一方、立憲民主党は安全保障関連法には違憲部分があるとし、現状のままでは自衛隊明記を認めていない。共産党は「海外での無制限の武力行使に道を開く」として9条改憲に反対だ。

 憲法改正を巡る議論では絶対に譲れない一線がある。改憲自体が目的になってはならないということだ。

 そもそもどんな必要があって、どこをどう変えたいのか。改正によって国の在り方がどう変わり、国民に何をもたらすのか。まずそうした問題設定を共有してから慎重に議論するのが憲法問題の本質だからだ。

 安倍政権は12年の政権奪還後、最高法規である憲法をないがしろにする動きが顕著だった。

 「憲法違反」との声が強い中、集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法を強行成立させるなど国会審議を軽視してきた。

 こうした中、注目されるのが立憲民主党の動向だ。民進党に残る参院議員や無所属議員らの間で立憲との連携を探る動きもある。

 政権の“暴走”をチェックするには、緊張感のある政治が欠かせない。そのためには強い野党が必要だ。政権批判の受け皿となる野党が誕生するのかどうかが、今後の国政を占う試金石となろう。

■内外に山積する課題

 安倍首相は、北朝鮮対応や消費税増税分の使途変更を解散の大義とし、「国難突破解散」と命名して支持を訴えた。

 これに対し、野党は「森友・加計学園問題」を追及されるのを嫌がった首相の「疑惑隠し解散」と批判し、選挙戦を展開した。

 北朝鮮問題では与党も野党もなかろう。与野党が結束して対応すべき問題である。

 ただ、世界的にみても、対外的な危機に直面している場合、政権与党に国民の支持が集まる傾向にある。首相はそうした点も織り込んでいたのではないか。

 消費税の使い道にしても国会で議論すればいい話だ。人口減少社会に突入している日本では、少子高齢化が国難であることは与野党とも共通認識のはずだ。

 結局、「丁寧な説明」といいながら、説明責任を果たそうとせず解散を断行した。野党から疑惑隠しと批判されても仕方あるまい。

 国民が最も気掛かりなのは暮らしの行方に違いない。首相が経済政策のアベノミクスの成果を強調しても、景気が良くなったとの実感は乏しく、地方には波及していない。

 財政再建も先送りし、将来世代につけを回すことになった。社会保障政策や原発問題、北朝鮮をはじめとする安全保障政策など内外に課題は山積している。

 投票率が低調だったことは残念だ。有権者が政治にそっぽを向いていては民主主義は成熟しない。